ジニ係数(Gini Coefficient)とは?
ジニ係数(Gini Coefficient)とは、社会における所得や資産などの分配の不平等さ(格差)を 0 から 1 の数値で定量的に表す指標です。
イタリアの統計学者コッラド・ジニ(Corrado Gini)によって提唱され、ローレンツ曲線と完全平等線(対角線)で囲まれる領域の面積比として定義されます。
ジニ係数の定義と計算公式
ローレンツ曲線を描いた際、以下の 2 つの領域の面積に注目します。
- 領域 A: 完全平等線(対角線)とローレンツ曲線に囲まれた部分の面積
- 領域 B: ローレンツ曲線より下(右下)の領域の面積
完全平等線より下の三角形全体の面積は A + B = 0.5(※縦・横の長さがともに 1 の直角二等辺三角形)となるため、ジニ係数 G は次のように定義されます。
また、領域 B(ローレンツ曲線下の面積)を用いて計算する場合は、以下の公式となります。
ジニ係数の値と解釈
- G = 0(完全平等): 全員が完全に同じ所得を持つ状態。A = 0 となりローレンツ曲線は対角線と一致します。
- G = 1(完全不平等): 1 人が全体の所得を独占し、他全員が 0 の状態。B = 0 となります。
- 値が大きい(1 に近づく): 不平等度(格差)が大きいことを示します。一般に 0.4 を超えると格差が警戒レベルと評価されます。
台形公式を用いた実数値計算の手順
統計検定 2 級では、階級ごとの累積データから台形公式(または三角形+台形)を用いてローレンツ曲線下の面積 B を算出し、ジニ係数を求める計算問題が出題されます。
世帯数の累積相対度数を x_i、所得合計の累積相対合計量を y_i(ただし x_0 = 0, y_0 = 0、x_k = 1, y_k = 1)とすると、曲線下の面積 B は各区間の台形の面積の和として計算できます。
一次変換とジニ係数の重要性質
試験で非常に頻出なのが、データの変形(一次変換)によるジニ係数の変化です。
- 正の定数倍(y = cx、c \gt 0): 全員の所得が一律 c 倍(例:1.1倍、2倍など)になっても、全体の所得に占める各個人の構成割合は変わらないため、ジニ係数は不変(変化しない)。
- 定数の加算(y = x + d、d \gt 0): 全員に一律定額 d(例:定額給付金など)を支給すると、低所得層の所得増加割合が高くなり相対的格差が縮小するため、ジニ係数は減少(小さく)する。
試験対策チェックポイント
- ジニ係数の定義式 G = 2A または G = 1 - 2B を正確に覚える。
- データの一律 定数倍 \to ジニ係数は変わらない。
- データの一律 定数加算(正) \to ジニ係数は小さくなる(平等化)。
- 表(累積相対度数と累積相対相計量)から台形の面積を順に足し合わせて G = 1 - 2B を計算できるようにする。
確認問題(統計検定2級レベル)
問題
ある国の所得データから算出されたジニ係数に関する記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。
- 完全平等線とローレンツ曲線に囲まれた領域の面積を A、ローレンツ曲線より下の領域の面積を B とすると、ジニ係数は \frac{A}{A + B} で表される。
- すべての世帯の所得が一律 5 % 引き上げられた場合、相対的な不平等度は変化しないため、ジニ係数は変化しない。
- すべての世帯に一律 10 万円の給付金が支給された場合、低所得層の所得増加率が高くなるため、ジニ係数は大きくなる。
- ジニ係数は 0 から 1 の間の値をとり、数値が 1 に近づくほど所得分配の不平等度が大きいことを示す。
解答・解説
正解: 3
【解説】
1:適切。ジニ係数の正しい定義式である。A + B = 0.5 であるため 2A または 1 - 2B と表現される。
2:適切。全世帯の所得の一律 1.05 倍(定数倍)は、累積割合に影響を与えないためジニ係数は不変である。
3:不適切。全世帯に一律の定額加算を行うと、元々所得の低い世帯ほど所得の増加率が大きくなるため、格差(不平等度)は縮小する。したがって、ジニ係数は小さくなる(格差が緩和される)。
4:適切。ジニ係数は 0(完全平等)から 1(完全不平等)の値をとり、1 に近いほど格差が大きい。



コメント