今回のテーマ
今回のテーマは「離散型確率変数(Discrete Random Variable)」です。
確率変数には離散型、連続型があります。
連続型が多い印象ですが、離散型もサイコロの確率とかで見るので、当然重要でしょう。
連続型との違いをおさえつつ学んでいきます。
一言でいうと
離散型確率変数とは、一言でいうと、
「個数や回数のように、値が飛び飛び(カウント可能)になっている確率変数」
のことです。
「離散」という言葉は「離れて散らばっている」という意味を持ち、数学や統計学では、取りうる値を1つずつ数えることができるものを指します。
ここで重要なのは、「離散型=整数」ではないということです。
たとえば、取りうる値が 0.5, 1.5, 2.5 のように飛び飛びになっていても、1つずつ数えられるなら離散型です。
身近な例で考えてみる
イメージを掴むために、具体例を見てみましょう。
- サイコロを振ったときの出目 X
→ 取る値は 1, 2, 3, 4, 5, 6 のいずれか(1.5 という目は出ない) - コインを3回投げたときに出る「表の回数」X
→ 取る値は 0, 1, 2, 3 回(2.3 回という結果はない) - 1時間に店舗へ来店する「お客さんの人数」X
→ 取る値は 0, 1, 2, 3, \dots 人(3.5 人は存在しない) - 100個の製品に含まれる「不良品の個数」X
→ 取る値は 0, 1, 2, \dots, 100 個
このように、「1つ、2つ…」「1回、2回…」と数えられる値をとるものが離散型確率変数です。
もちろん、「離散型=個数や回数だけ」というわけではありません。
ポイントは、取りうる値が有限個、または無限でも1つずつ数えられる(可算である)ことです。
連続型確率変数との違い
確率変数は「離散型」と「連続型」に分けて考えることができます。
違いを表で整理します。
| 項目 | 離散型確率変数 | 連続型確率変数 |
|---|---|---|
| 値の性質 | 飛び飛びの値(有限個または可算個) | 連続した範囲の値 |
| 具体例 | サイコロの目、回数、人数、個数 | 身長、体重、時間、気温など |
| 使う関数 | 確率質量関数(PMF) | 確率密度関数(PDF) |
| 1点の確率 | P(X=x) を直接考えられる | 連続型では通常 P(X=x)=0 |
| 確率の求め方 | 確率を足し合わせる | 密度を積分して求める |
連続型では、特定の1点にぴったり一致する確率は0となるため、ある範囲に入る確率を求めます。
一方、離散型では、「特定の値 x を取る確率 P(X=x)」を直接考えることができます。
ここが大きな違いですね。
確率質量関数(PMF)とは?
離散型確率変数を扱う上で欠かせないのが「確率質量関数(Probability Mass Function : PMF)」です。
難しそうな名前ですが、要するに、
「具体的な値 x を入れたら、その値になる確率 P(X=x) を返してくれるルール」
のことです。
f(x)=P(X=x)例えばサイコロなら、
f(3)=P(X=3)=\frac{1}{6}となります。
つまり、
「3が出る確率を教えて!」
と聞いたら、
「\frac{1}{6}です!」
と返してくれるのがPMFというイメージです。
確率質量関数が満たすべき2つのルール
離散型確率変数の確率質量関数 P(X=x_i)=p_i は、基本的に以下の条件を満たします。
1. 各確率は0以上1以下
0 \le p_i \le 1まぁ、確率なので当然ですね。
2. すべての確率を足すと1
\sum_i p_i=1こちらも当然ですが重要です。
例えばサイコロの場合、1\sim6 の目が出る確率はそれぞれ \frac{1}{6} なので、
\frac{1}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}+\frac{1}{6}=1となります。
つまり、
「どれかの目が出る確率を全部合わせたら100%」
ということですね。
このようなPMFの条件は、有限個の場合だけでなく、取りうる値が無限個でも成り立ちます。
代表的な離散型確率分布
統計学でよく使われる、離散型確率変数に従う代表的な分布をいくつか紹介します。
1. 離散一様分布
すべての値が出る確率が等しい分布です。
例として、イカサマのないサイコロの出目などがあります。
2. 二項分布 B(n,p)
「成功か失敗か」の2通りしかない試行を、一定の条件のもとで n 回繰り返したとき、成功する回数 X が従う分布です。
例えば、コインを10回投げて表が出る回数などですね。
二項分布は代表的な離散型確率分布の一つです。
3. ポアソン分布 P_o(λ)
一定の時間や空間の中で、ある事象が何回発生するかを表す分布です。
例えば、
- 1時間あたりのメール受信件数
- 1時間あたりの来店者数
- 一定期間の事故件数
などです。
特に、一定の時間・空間あたりの発生回数を扱うときによく登場します。
4. ベルヌーイ分布
試行を1回だけ行い、「成功(1)か失敗(0)か」を表す最もシンプルな分布です。
二項分布が「成功か失敗かの試行を何回も行って、成功回数を見る」のに対して、ベルヌーイ分布は1回だけというイメージです。
練習問題
理解度を確認するための4択問題です。
離散型確率変数の特徴について考えてみましょう。
【問題】
離散型確率変数および確率質量関数に関する記述として、最も適切なものを次の①〜④の中から1つ選んでください。
① 人の「身長」や「体重」は、細かく数えることができるため離散型確率変数に分類される。
② 離散型確率変数の確率質量関数において、実現値 x_i に対する確率 P(X=x_i) をすべての値について足し合わせると、必ず 1 になる。
③ 離散型確率変数では、特定の1点における確率 P(X=a) は常に 0 となるため、確率を求める際は範囲で積分する必要がある。
④ 確率質量関数の縦軸は「確率密度」を表しており、グラフの高さそのものは確率を表さない。
解答・解説
正解:②
① 誤り
「身長」や「体重」は、理想化すれば連続的な値を取るため、連続型確率変数として扱います。
「細かく数えられるから離散型」ではなく、取りうる値が飛び飛びで、1つずつ数えられるかどうかがポイントです。
② 正しい
離散型確率分布では、取りうるすべての値に対する確率を足し合わせると、全確率である 1(100%)になります。
③ 誤り
特定の一点での確率が 0 になり、積分(面積)で確率を求めるのは、連続型確率変数の特徴です。
離散型では、特定の1点に対する確率 P(X=a) を直接考えることができます。
④ 誤り
確率密度を扱うのは連続型の確率分布です。
離散型のPMFでは、P(X=x) そのものが確率を表します。
例えばサイコロなら、
P(X=3)=\frac{1}{6}です。
まとめ
今回は「離散型確率変数とは何か?」について解説しました。
- 離散型確率変数は値が飛び飛びで、取りうる値を1つずつ数えることができる確率変数
- サイコロの目、コインの表の回数、人数、個数などが具体例
- 特定の値をとる確率を表す関数を「確率質量関数(PMF)」と呼ぶ
- すべての値を足し合わせた全体の確率は必ず 1(100%)になる
- 連続型では確率密度関数(PDF)を使い、範囲の確率を積分で求める
「数えられるデータ=離散型」と直感的に理解しておくと、二項分布やポアソン分布などの計算問題を学ぶ際にもスムーズに頭に入ってきます!
参考 関連用語
| 用語 | 簡易的な説明 |
|---|---|
| 離散型確率変数 | 値が飛び飛びで、取りうる値を1つずつ数えることができる確率変数。 |
| 連続型確率変数 | 連続した範囲の値を取る確率変数。 |
| 確率質量関数(PMF) | 離散型確率変数において、特定の値 x を取る確率 P(X=x) を表す関数。 |
| 確率密度関数(PDF) | 連続型確率変数の確率密度を表す関数。範囲の確率を積分によって求める。 |
| 実現値 x | 確率変数が実際に取った具体的な値。 |
| 離散一様分布 | すべての取りうる値の発生確率が等しい離散型の確率分布。 |
| ベルヌーイ分布 | 「成功(1)」か「失敗(0)」かの2つの結果を持つ試行を表す分布。 |
| 二項分布 B(n,p) | 成功確率 p の独立な試行を n 回行ったときの成功回数が従う分布。 |
| ポアソン分布 P_o(\lambda) | 一定の時間や空間における事象の発生回数を表す離散型確率分布。 |
| 期待値 E(X) | 離散型では \sum x_i p_i で計算される、確率変数の理論上の平均値。 |
| 累積分布関数(CDF) | F(x)=P(X\le x) で定義され、ある値以下になる確率を表す関数。 |
| 確率分布 | 確率変数がどの値をどの程度の確率で取るかを表したもの。 |

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