中心傾向の指標

統計検定2級用語・練習問題

中心傾向の指標(代表値)とは?

大量のデータを1つの数値で代表させてデータの全体像や「中心の位置」を要約した指標を、「中心傾向の指標」または「代表値」と呼びます。

代表的な指標として平均値(Mean)、中央値(Median:メディアン)、最頻値(Mode:モード)の3つがあります。データがどのような尺度水準(名義・順序・間隔・比例)か、また外れ値が含まれているかによって適切に使い分けることが統計検定2級の超重要ポイントです。

代表値3種の比較と性質

それぞれの指標が持つ定義・適用可能な尺度・外れ値への強さ(ロバスト性)の違いを一覧表で整理しましょう。

指標定義適用できる尺度外れ値の影響(ロバスト性)
平均値
(Mean)
全データの総和をデータ数で割った値。
\bar{x} = \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n} x_i
間隔尺度・比例尺度
(量的変数)
非常に影響を受けやすい
(ロバスト性:低)
中央値
(Median)
データを大きさ順に並べた中央(50%)の値。
Me
順序尺度・間隔尺度・比例尺度ほとんど影響を受けない
(ロバスト性:高)
最頻値
(Mode)
最も出現頻度(度数)が高い値。
Mo
すべての尺度
(名義尺度・質的変数にも使用可能)
全く影響を受けない
(ロバスト性:高)

分布の形状と代表値の大小関係

ヒストグラムやデータの分布形状によって、3つの代表値の位置関係には規則性があります。

1. 左右対称・ベル型分布

標準的な正規分布のように山が中央で左右均等な分布では、3つの指標が完全に一致します。

\text{最頻値 } Mo = \text{中央値 } Me = \text{平均値 } \bar{x}

2. 右に裾が長い分布(正の歪み)

所得・貯蓄額・退職金のように、山が左に寄り右側に大きな外れ値が伸びている分布です。極端に大きな値に平均値が右側に強く引っ張られます。

\text{最頻値 } Mo < \text{中央値 } Me < \text{平均値 } \bar{x}

3. 左に裾が長い分布(負の歪み)

人間の寿命や簡単なテストの点数のように、山が右に寄り左側に小さな外れ値が伸びている分布です。極端に小さな値に平均値が左側に引っ張られます。

\text{平均値 } \bar{x} < \text{中央値 } Me < \text{最頻値 } Mo

試験対策チェックポイント

  • 血液型や好きなブランドなど、質的データ(名義尺度)に対して利用できる代表値は「最頻値(Mode)」のみである。
  • 所得データなど歪みがある分布の「実態に近い代表値」を尋ねられたら、外れ値に強い「中央値(Median)」を選択する。
  • 平均値は偏差の和を 0 にし(2乗誤差の和を最小化)、中央値は絶対偏差の和を最小化するというそれぞれの数学的性質を整理しておく。
  • 「右裾が長い=平均値が最大」「左裾が長い=平均値が最小」の不平不等式を頭の中で描けるようにする。

確認問題(統計検定2級レベル)

問題

中心傾向の指標(代表値)に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。

  1. アンケート調査における「最も支持された選択肢」を把握したい場合、データが名義尺度であっても最頻値(モード)を求めることができる。
  2. データセット内に 1 つだけ極端に大きな外れ値が追加された場合、中央値(メディアン)に比べて平均値の方がその外れ値の影響を強く受けて変動しやすい。
  3. データの分布が右に裾を引いている(正に歪んでいる)場合、一般に「平均値 < 中央値 < 最頻値」という大小関係が成立する。
  4. すべてのデータ値からある一定の定数 c を引く変換を行った場合、平均値・中央値・最頻値のいずれも元の値から c 引いた値へと変化する。

解答・解説

正解: 3

【解説】

1:適切。最頻値は名義尺度(カテゴリカルデータ)にも適用できる唯一の代表値である。

2:適切。平均値は全データの総和を使うため外れ値の影響を受けやすいが、中央値は順位に基づくため外れ値に頑健(ロバスト)である。

3:不適切。右に裾が長い分布では、右側の大きな外れ値に平均値が引っ張り上げられるため、正しくは「最頻値 < 中央値 < 平均値」の順になる。本肢の不等式は逆になっているため誤り。

4:適切。平行移動 y_i = x_i - c を行うと、中心傾向を示す 3 つの指標すべてがそのまま -c される(一次変換の性質)。

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