ローレンツ曲線(Lorenz Curve)とは?
ローレンツ曲線(Lorenz Curve)とは、所得や資産などの集中度や分配の不平等さ(格差)を視覚的に表現するためのグラフです。横軸に「人数の累積割合」、縦軸に「所得などの総量の累積割合」をとってプロットします。
全員の所得が全く同じ状態である「完全平等線(Line of Perfect Equality)」からの離れ具合によって、格差の大きさを視覚的に把握できます。
ローレンツ曲線の軸と作図手順
データ(例:世帯ごとの所得)を小さい順(昇順)に並べ替えた上で、以下の 2 つの累積割合を計算します。
- 横軸(x 軸): 所得が低い順に並べた人数の累積相対度数(0 % 〜 100 % または 0 〜 1)
- 縦軸(y 軸): その人々が占める所得総額の累積相対合計量(0 % 〜 100 % または 0 〜 1)
点 (0, 0) から始まり、所得の低い順に累計を加えていき、最終的に点 (1, 1)(または (100\%, 100\%))に達する右上がりの曲線を描きます。
ローレンツ曲線の特徴と形状のルール
- 下に凸の形状: データを「所得の低い順」に並べてプロットするため、傾き(1人あたりの所得)は右へ行くほど大きくなり、必ず下に凸の曲線になります。
- 完全平等線(対角線): 全員がまったく同じ所得を持つ場合、ローレンツ曲線は原点 (0,0) と (1,1) を結ぶ 45 度線(y = x)と一致します。
- 完全不平等: 1 人がすべての所得を独占し他の全員が 0 の場合、ローレンツ曲線は (0,0) \to (1,0) \to (1,1) という L 字型の折れ線になります。
ジニ係数(Gini Coefficient)との関係
ローレンツ曲線から算出される不平等度の定量的指標がジニ係数です。
- 完全平等線(対角線)とローレンツ曲線で囲まれた部分の面積を A とします。
- 完全平等線より下全体の三角形の面積(= 0.5)に対する領域 A の割合がジニ係数です。
\text{ジニ係数} = \frac{A}{A + B} = \frac{A}{0.5} = 2A
(※ B はローレンツ曲線より下の領域の面積)
- ジニ係数 = 0: 完全平等(ローレンツ曲線が対角線と一致)
- ジニ係数 = 1: 完全不平等(1 人がすべてを独占)
- 値が大きいほど(1 に近づくほど): ローレンツ曲線が対角線から離れ、格差・不平等度が大きいことを示します。
試験対策チェックポイント
- 横軸は「人数の累積割合」、縦軸は「値(所得など)の合計の累積割合」であることを正しく覚える(入れ替え問題に注意)。
- 昇順にプロットするため、曲線は必ず「下に凸」になる(上には膨らまない)。
- 全データの値を一律 c 倍(正の実数)に拡大しても、人数の割合・合計の割合ともに変化しないため、ローレンツ曲線およびジニ係数は変化しない。
- 台形近似を用いてローレンツ曲線下の面積 B を求め、\text{ジニ係数} = 1 - 2B から計算させる数値問題が出題される。
確認問題(統計検定2級レベル)
問題
ローレンツ曲線およびジニ係数に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。
- ローレンツ曲線は、構成員を値の小さい順に並べ、横軸に構成員の累積割合、縦軸に値の合計の累積割合をとってプロットしたものである。
- すべての世帯の所得が完全に等しい場合、ローレンツ曲線は原点と点 (1,1) を結ぶ直線(完全平等線)と一致する。
- すべての世帯の所得が一律に 1.1 倍(10 % 増加)に上昇した場合、所得格差が拡大するためジニ係数は大きくなる。
- ローレンツ曲線が完全平等線から離れるほど、対角線とローレンツ曲線で囲まれた面積が大きくなり、ジニ係数は 1 に近づく。
解答・解説
正解: 3
【解説】
1:適切。ローレンツ曲線の正しい定義である。
2:適切。全員の所得が等しい場合、全人数の x\% が持つ所得の合計は常に全体の x\% となるため、y = x の直線になる。
3:不適切。全世帯の所得が一律に正の定数倍(1.1 倍)されても、各世帯が全所得に占める「割合」は変化しない。したがってローレンツ曲線の形状は変化せず、ジニ係数も変化しない。
4:適切。完全平等線から乖離するほど格差が大きく、囲まれた面積 A が増大するためジニ係数 2A は 1 に近づく。



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