尖度(Kurtosis)とは?
尖度(せんど、Kurtosis)とは、確率分布やデータの分布が「正規分布に対してどれくらい中央が尖っているか(または裾野が太い・重いか)」を表す統計的尺度です。
中心付近の鋭さだけでなく、平均から大きく離れた外れ値の発生頻度(裾の太さ:Heavy Tail)を評価する指標として非常に重要です。
尖度の定義式(4次モーメント)
確率変数 X の平均値を \mu、標準偏差を \sigma とするとき、尖度は標準化変数の4次モーメントに基づいて定義されます。
定義には、そのままの値を採用する「定義1」と、正規分布の値を 0 とするために 3 を引く「超過尖度(定義2)」の2種類が存在します。
超過尖度(Excess Kurtosis:統計ソフトや試験で標準的な定義)
\text{超過尖度} = E\left[ \left( \frac{X - \mu}{\sigma} \right)^4 \right] - 3 = \frac{E[(X - \mu)^4]}{\sigma^4} - 3
※統計検定やPython/R等の多くの環境では、正規分布の尖度を 0 とする「超過尖度(-3 したもの)」が使われます。
尖度の値と分布の形状(3パターン)
1. 超過尖度 = 0(正規分布と同じ:メソクルティック)
- 標準的な正規分布の形状です(※3を引かない定義では 尖度 = 3)。
2. 超過尖度 \gt 0(鋭い山・太い裾:レプトクルティック)
- 正規分布に比べて中央が急峻に高く尖り、同時に両側の裾(Tail)が太く広がった形状をしています(例:t 分布、ラプラス分布、金融商品の収益率など)。
- 平均から極端に離れた大きな値(外れ値)が出現する確率が正規分布より高いことを意味します。
3. 超過尖度 \lt 0(平らな山・薄い裾:プラティクルティック)
- 正規分布に比べてピークが丸く台形のように平らで、両側の裾が薄い(すぐ途切れる)形状をしています(例:一様分布など)。
- 外れ値の発生頻度が低い分布です。
試験対策チェックポイント
- 尖度は平均からの偏差の4乗(標準化変数の4次モーメント)に基づく尺度である。
- 正規分布の基準値: 超過尖度の定義では 0(3を引かない定義では 3)であることを確認する。
- t 分布の特性: 自由度 \nu の t 分布は、標準正規分布よりも裾が太いため、尖度は正の値(超過尖度 \gt 0)をとる。自由度が大きくなると正規分布に近づき 0 に収束する。
- 歪度と同様に、データを一律に正の定数倍(y = cx)したり定数を加算(y = x + d)したりしても、尖度の値は変化しない(スケール不変・平行移動不変)。
確認問題(統計検定2級レベル)
問題
確率分布およびデータの尖度(正規分布の値を 0 とする超過尖度)に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。
- 尖度は分布のピークの鋭さや裾の太さを表す指標であり、標準化変数の4次モーメントに基づいて算出される。
- 超過尖度が正(\gt 0)である分布は、正規分布と比較して中央付近が高く尖っており、かつ平均から大きく離れた裾の部分が太い(外れ値が出やすい)特徴を持つ。
- 自由度 4 の t 分布は標準正規分布よりも裾が太いため、その超過尖度は負の値をとる。
- すべてのデータ値を正の定数倍(一律 2 倍など)しても、標本尖度の値は変化しない。
解答・解説
正解: 3
【解説】
1:適切。尖度の計算定義に関する正しい記述である。
2:適切。超過尖度が正の分布(例:t分布)は、中央が尖っており、かつ裾が太い(ファットテール)性質を持つ。
3:不適切。t 分布は標準正規分布に比べて「裾が太い(外れ値が出やすい)」分布であるため、正規分布よりも尖度が大きく、超過尖度は正の値(\gt 0)をとる。
4:適切。尖度は標準化変数から計算される無次元量であるため、データの正の定数倍や定数加算によって値は変化しない(スケール不変)。



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