歪度

統計検定2級用語・練習問題

歪度(Skewness)とは?

歪度(わいど、Skewness)とは、確率分布やデータの分布が「左右対称からどれくらい歪んでいるか(偏っているか)」を表す統計的尺度です。

ヒストグラムや確率密度関数の「裾(裾野)が左右どちらに長く伸びているか」によって、歪度の符号(正・負・ゼロ)が決まります。

歪度の符号と分布の形状(3パターン)

1. 歪度 = 0(左右対称な分布)

  • 正規分布や t 分布のように、頂点を中心に左右対称な形をしています。
  • 代表値の位置関係:平均値 = 中央値 = 最頻値

2. 歪度 \gt 0(右に裾が長い分布 / 正の歪み)

  • 山が左側に寄り、右側に長く裾が伸ばされた形をしています(例:所得分布、家賃、コールセンターの応対時間など)。
  • 大きな値(右側の外れ値)に引っぱられるため、平均値が最も大きくなります。
  • 代表値の位置関係:最頻値 \lt 中央値 \lt 平均値

3. 歪度 \lt 0(左に裾が長い分布 / 負の歪み)

  • 山が右側に寄り、左側に長く裾が伸ばされた形をしています(例:簡単なテストの点数、人間の寿命など)。
  • 小さな値(左側の外れ値)に引っぱられるため、平均値が最も小さくなります。
  • 代表値の位置関係:平均値 \lt 中央値 \lt 最頻値

歪度の定義式(数学的計算公式)

確率変数 X の平均値を \mu、標準偏差を \sigma とするとき、歪度 \alpha_3(または SK)は、標準化変数の3次モーメントとして定義されます。

\text{歪度} = E\left[ \left( \frac{X - \mu}{\sigma} \right)^3 \right] = \frac{E[(X - \mu)^3]}{\sigma^3}

サンプルサイズ n の標本データ x_1, x_2, \dots, x_n(標本平均 \bar{x}、標本標準偏差 s)から算出する場合は以下の公式となります。

\text{標本歪度} = \frac{\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i - \bar{x})^3}{s^3}

偏差を3乗しているため、平均から大きく右に離れた点(x_i - \bar{x} \gt 0)が存在すると正の値が大きくなり、左に離れた点(x_i - \bar{x} \lt 0)が存在すると負の値が大きくなります。

試験対策チェックポイント

  • 「右に裾が長い \to 歪度 \gt 0(正)」、「左に裾が長い \to 歪度 \lt 0(負)」という対応関係を確実に覚える(山の位置ではなく「裾の伸びている方向」で判定する)。
  • 右に裾が長い分布では、平均値 \gt 中央値 \gt 最頻値 となる(平均値が外れ値に引きずられて一番右に来る)。
  • 歪度は平均からの偏差の3乗(標準化変数の3次モーメント)に基づく尺度である。

確認問題(統計検定2級レベル)

問題

確率分布およびデータの歪度に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。

  1. 歪度は分布の左右非対称性を表す指標であり、標準化変数の3次モーメントとして定義される。
  2. 右側に長い裾を持つ確率分布(正の歪みを持つ分布)では、歪度の値は正となり、通常「最頻値 \lt 中央値 \lt 平均値」の関係が成り立つ。
  3. ヒストグラムを描いたときに山が右側に偏り、左側に裾が伸びている場合、歪度は負の値をとる。
  4. すべてのデータ値を一律に正の定数倍しても標本歪度の値は変化するが、定数を加算した場合は不変である。

解答・解説

正解: 4

【解説】

1:適切。歪度の定義として正しい。

2:適切。右に裾が長い分布(正の歪み)では、右側の大きな値に引っぱられて平均値が最も大きくなり、最頻値 \lt 中央値 \lt 平均値 となる。

3:適切。左側に裾が伸びている分布は「負の歪み」を持ち、歪度は負(\text{歪度} \lt 0)となる。

4:不適切。データに正の定数を掛け算(y = cx、c \gt 0)した場合、分子の偏差の3乗は c^3 倍、分母の標準偏差の3乗も s^3 \cdot c^3 となって相殺されるため、**歪度は変化しない(無次元量)**。定数を足し算した場合(y = x + d)も偏差は変わらないため不変である。

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