データソースとは?
統計分析を行う際、「そのデータをどのような手順・出所から入手したか」というデータソースの認識が重要です。データソースは取得方法によって大きく「1次データ」と「2次データ」に分類されます。
1次データと2次データ
データソースは、収集の主体および目的に応じて以下のように定義されます。
| 分類 | 定義 | 具体例 | 特徴(メリット・デメリット) |
|---|---|---|---|
| 1次データ (Primary Data) | 調査者自身が特定の研究・分析目的のために自ら直接収集したデータ | 自ら実施したアンケート調査結果、実験の測定データ、独自の聞き取り調査など | 長所:調査目的に直接合致した精度高いデータが得られる 短所:収集に多大なコストや時間・労力がかかる |
| 2次データ (Secondary Data) | 他者(公的機関や研究機関など)が別の目的ですでに収集・公開している既存のデータ | 官公庁が公表する統計データ(国勢調査など)、学会論文のデータ、企業公開レポートなど | 長所:収集のコストや時間を大幅に削減できる 短所:自分の調査目的と集計単位や定義が完全に合致しない場合がある |
一次情報源と公的統計
2次データを利用する際は、データ改変の誤りや解釈の歪みを防ぐため、二次加工された情報ではなく「一次情報源(元のデータ作成者が提供する情報)」を参照することが原則です。その代表例が国の公的機関が作成する「公的統計」(e-Stat等で閲覧可能)です。
試験対策チェックポイント
- 収集主体が「自分自身(1次)」か「第三者の既存データ(2次)」かによる区別を正しく理解する。
- 研究者や実務者が分析に利用する「国勢調査」などの公的統計データは、利用者視点では2次データにあたる。
- 2次データを利用する際は、データがどのような「母集団」や「抽出方法(標本抽出法)」で集められたかというメタデータ(定義・背景)を確認することが不可欠である。
確認問題(統計検定2級レベル)
問題
データソース(一次データ・二次データ)に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。
- ある研究者が自らの研究目的のために新規に設計し、実施した街頭アンケートの調査結果は、その研究者にとって一次データである。
- 総務省が実施・公表している「国勢調査」のデータを研究者がダウンロードして分析に利用する場合、このデータは研究者にとって二次データとなる。
- 二次データを利用する際は、収集にかかるコストや時間を節約できるメリットがある反面、自身の調査目的と集計分類や定義が完全に合致しない場合がある。
- 二次データを利用する際は、信頼性を高めるために、第三者が要約・再編集した二次情報源(要約ブログやニュース記事など)を優先して引用することが望ましい。
解答・解説
正解: 4
【解説】
1:適切。調査者自身が特定の目的のために直接収集したデータは「一次データ(Primary Data)」の定義に合致する。
2:適切。国勢調査は総務省(作成者)にとっては一次データであるが、それを利用して分析を行う第三者(研究者)の視点からは「二次データ(Secondary Data)」となる。
3:適切。二次データの最大のメリットは手軽さ・低コストであるが、他者の目的で集められたデータであるため、自分の知りたい集計単位(年齢階級や地域区分など)と微妙にズレていることがある。
4:不適切。二次データを利用する際は、他者が加工・解釈した二次情報源(ニュース記事やまとめサイト等)ではなく、データの原典である「一次情報源(Primary Source)」(官公庁の一次発表資料や原データ)を直接確認・参照することが統計学および学術研究の原則である。
公的統計とは?
公的統計とは、国や地方公共団体などの公的機関が作成する統計のことです。国の施策立案や国民の意思決定、学術研究の基礎データとして極めて高い信頼性を備えています。統計法に基づき、体系的に整備されています。
基幹統計と一般統計の違い
日本の公的統計は、統計法に基づき大きく「基幹統計」と「一般統計」に分類されます。
| 分類 | 定義・概要 | 代表例 | 特徴・法的位置づけ |
|---|---|---|---|
| 基幹統計 | 国政の基本に関する特に重要な統計として、総務大臣が指定するもの | 国勢調査、労働力調査、家計調査、経済センサス、農林業センサスなど | 報告義務あり:対象者に回答の義務が課される場合があり、正確性と信頼性が極めて高い |
| 一般統計 | 基幹統計以外の、行政機関が作成する公的統計 | 各種行政統計、各省庁が独自に行う実態調査など | 行政上の特定の目的や施策のために実施され、あらかじめ総務大臣の承認を得て作成される |
代表的な公的統計とデータベース
統計検定2級では、具体的にどのような統計が存在し、どこで閲覧・入手できるかについての基礎知識も問われます。
主な公的統計の例
- 国勢調査:日本国内に住むすべての人・世帯を対象とする最も基本的な基幹統計(5年ごとに実施)。
- 労働力調査:就業・不就業の状態を毎月調査し、完全失業率などを算出する基幹統計。
- 家計調査:全国の世帯の収入・支出や購入品目を毎月調査する基幹統計。
- 経済センサス:全事業所・企業の経済活動を一体的に把握する基幹統計。
公的統計のデータベース
- e-Stat(政府統計の総合窓口):日本の各府省が公表する公的統計のデータを一元的に閲覧・ダウンロードできるポータルサイト。
- RESAS(地域経済分析システム):産業・人口・観光などのビッグデータを集約し、地域経済の可視化を図るシステム。
試験対策チェックポイント
- 公的統計は「基幹統計」と「一般統計」に大別され、基幹統計は総務大臣が指定する特に重要な統計であることを押さえる。
- 国勢調査や労働力調査などの名称と、それがどのようなデータを測定しているか(人口、失業率、消費など)を結びつけて覚えておく。
- 公的統計のデータを扱うポータルサイトとして「e-Stat」が利用される点を理解しておく。
確認問題(統計検定2級レベル)
問題
日本の公的統計に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。
- 公的統計は統計法に基づき整備されており、そのうち国政の基本に関する特に重要な統計は総務大臣によって「基幹統計」に指定されている。
- 5年ごとに日本国内のすべての世帯・人を対象として実施される「国勢調査」は、代表的な基幹統計の1つである。
- 公的統計のデータは、政府統計の総合窓口である「e-Stat」などを通じて一般に公開されており、二次データとして分析に活用することができる。
- 基幹統計調査の対象として選ばれた個人や事業者は、提出の自由が完全に保障されており、拒否した場合でも統計法上の報告義務違反には問われない。
解答・解説
正解: 4
【解説】
1:適切。日本の公的統計は統計法に基づいて規定されており、特に重要なものは総務大臣が指定して「基幹統計」に設定される。
2:適切。国勢調査は全数調査として実施される日本の最も基本的な基幹統計であり、実施周期は5年である。
3:適切。e-Stat(政府統計の総合窓口)では膨大な公的統計データがオープンデータとして公開されており、分析者視点での信頼性の高い「二次データ」として広く利用される。
4:不適切。基幹統計調査(国勢調査など)においては、正確なデータの把握を目的として統計法第13条により調査対象者に「報告義務」が定められており、無正当理由の拒否や虚偽報告には罰則規定が存在する。(※提出の自由が保障されている選択肢の記述は誤り。)



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