中央値

AI用語

中央値(メディアン)とは?

データを大きさの順(昇順または降順)に並べ替えたとき、ちょうど中央(50%)に位置する値を「中央値(Median:メディアン)」と呼び、記号 Me や \tilde{x} などで表されます。平均値とは異なり、極端な値(外れ値)の影響を受けにくい強い性質を持っています。

中央値の求め方と公式

データ数 n が「奇数」か「偶数」かによって求め方の手順が異なります。また、グループ化された度数分布表から求める場合の計算方法も非常に重要です。

1. 個別データからの算出方法

データ数 n計算方法・順位計算例(昇順ソート後)
奇数の場合中央の 1 つの値
\frac{n+1}{2} 番目の値
データ \{3, 5, \mathbf{8}, 10, 12\}(n=5)
\frac{5+1}{2} = 3 番目の値 \rightarrow Me = \mathbf{8}
偶数の場合中央の 2 つの値の平均
\frac{n}{2} 番目と \frac{n}{2}+1 番目の平均
データ \{2, 4, \mathbf{6}, \mathbf{10}, 15, 20\}(n=6)
3番目(6)と4番目(10)の平均 \rightarrow \frac{6+10}{2} = \mathbf{8}

2. 度数分布表からの算出(線形補間)

階級ごとにグループ化されたデータから中央値を推定する場合、累積度数グラフ(オジーブ)での直線補間を背景とした以下の公式を利用します。

Me = L + \frac{\frac{N}{2} - F}{f} \times h
  • L :中央値が含まれる階級の下限値
  • N :全データ数(総度数)
  • F :中央値が含まれる階級の直前までの累積度数
  • f :中央値が含まれる階級の度数
  • h :中央値が含まれる階級の階級幅

中央値の重要な性質

1. 外れ値に対する頑健性(ロバスト性)

極端に大きな値や小さな値(外れ値)がデータに加わっても、中央値はほとんど変化しません。このように外れ値の影響を受けにくい性質を「外れ値に対して頑健(ロバスト:Robust)」と言います。そのため、所得や貯蓄額など歪んだ分布(右に裾が長い分布)の実態を表す代表値として適しています。

2. 絶対偏差の総和を最小化する性質

任意の値 a に対するデータからの絶対偏差の和 \sum_{i=1}^{n} |x_i - a| を考えたとき、a = Me(中央値)のときにこの総和が最小になります。(※平均値が「2乗偏差の和」を最小化するの対比として重要です。)

\min_{a} \sum_{i=1}^{n} |x_i - a| \implies a = Me

3. 一次変換(単調増加変換)の影響

a > 0 の一次変換 y_i = a x_i + b を行うと、元のデータの中央値 Me_x と新しいデータの中央値 Me_y の間にはそのまま以下の関係が成立します。

Me_y = a \cdot Me_x + b

さらに、中央値は単調増加関数 f(x) による変換(例:対数変換 \log(x) など)に対しても Me_{f(x)} = f(Me_x) が成り立つのも大きな特徴です。

試験対策チェックポイント

  • データ数が偶数の場合、「中央に位置する2つの値の平均値」をとることを忘れないようにする。
  • 所得や家計調査などのデータで「平均値と中央値のどちらが代表値としてふさわしいか」を問われたら、外れ値の影響を受けにくい中央値を選ぶ。
  • 「2乗誤差の和を最小化=平均値」「絶対誤差(絶対偏差)の和を最小化=中央値」という対比構造を正確に暗記しておく。
  • 箱ひげ図(Boxplot)における中央の太線が「中央値(第2四分位数:Q_2)」を表すことを認識しておく。

確認問題(統計検定2級レベル)

問題

中央値(メディアン)に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。

  1. データ数が 10 である偶数個のデータセットにおける中央値は、データを小さい順に並べ替えたときの 5 番目と 6 番目のデータの相加平均として求められる。
  2. 中央値は外れ値に対して頑健(ロバスト)であるため、一部のデータに極端な入力エラーや巨大な値が含まれていても、数値そのものが大きく変動しにくい。
  3. データ値 x_i と定数 a の差の2乗和 \sum_{i=1}^{n} (x_i - a)^2 を最小にするような定数 a の値は中央値である。
  4. すべてのデータ値を 3 倍して 5 を引く変換(y_i = 3x_i - 5)を行った場合、新しいデータセットの中央値は「元のデータの中央値の 3 倍から 5 を引いた値」に等しい。

解答・解説

正解: 3

【解説】

1:適切。データ数 n=10 の場合、\frac{10}{2} = 5 番目と 5+1 = 6 番目の値の平均値が中央値となる。

2:適切。中央値は順位情報に基づいているため、極端な外れ値の影響を受けない(ロバスト性が高い)。

3:不適切。偏差の2乗和 \sum (x_i - a)^2 を最小にする a は「平均値(算術平均)」である。中央値は「絶対偏差の和 \sum |x_i - a|」を最小にする定数であるため誤り。

4:適切。一次変換 y = a x + b(ただし a > 0)に対して、中央値もそのまま Me_y = a \cdot Me_x + b と変化する。

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