カイ二乗値(一様な頻度からのずれ)とは?
サイコロの目、曜日の事故発生数、月ごとの売上件数などが「偏りなく均等(等確率)に発生しているか」を検証する統計的手法を適合度検定(Goodness-of-fit test)と呼びます。
実際の観測データ(観測度数)が「完全に均等であると仮定した場合の理論値(期待度数)」からどれくらい離れているかを数値化した指標がカイ二乗統計量(\chi^2 値)です。
カイ二乗値の計算公式
カテゴリ(試行結果の分類)の数を k、各カテゴリ i の実際の出現回数を観測度数 O_i(Observed)、理論上の平均出現回数を期待度数 E_i(Expected)とすると、カイ二乗値 \chi^2 は以下の公式で計算されます。
一様な頻度(等確率)における期待度数 E_i
総データ数を N、カテゴリ数を k とするとき、すべてのカテゴリで発生確率が等しい(一様分布)と仮定すると、期待度数はすべてのカテゴリで一定値となります。
適合度検定の流れと自由度
一様な頻度からのずれを検定する際の手順は以下の通りです。
- 仮説の設定:
帰無仮説 H_0:出現頻度は一様である(偏りはない)
対立仮説 H_1:出現頻度は一様ではない(偏りがある) - 期待度数の算出: E = \frac{N}{k} を計算(※すべての期待度数が 5 以上であることを確認)。
- カイ二乗値の計算: \chi^2 = \sum \frac{(O_i - E)^2}{E} を算出。
- 自由度の決定: カテゴリ数を k とするとき、自由度 df は以下になります。
- 判定: 算出された \chi^2 値が、自由度 k-1 のカイ二乗分布の上側有意水準(\alpha)の限界値より大きければ、帰無仮説 H_0 を棄却し「一様な頻度から有意にずれている(偏りがある)」と判定します。
試験対策チェックポイント
- カイ二乗値の分子は差の「2乗」であり、分母は「期待度数 E_i」であること(観測度数 O_i で割らないよう注意)。
- 一様頻度の検定における自由度は df = k - 1(カテゴリ数 k から 1 を引く)。サンプルサイズ N ではない。
- すべての観測度数が期待度数と完全一致する場合、\chi^2 = 0 となる。ずれが大きくなるほど \chi^2 値は大きな正の値をとる。
確認問題(統計検定2級レベル)
問題
ある 6 面体のサイコロを 60 回振ったところ、それぞれの目がでた回数(観測度数)は以下の表のようになりました。
| 目の出方 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 観測度数 O_i | 15 | 7 | 12 | 8 | 11 | 7 | 60 |
このサイコロの目の出方が均等(一様)であるかどうかを有意水準 5 % で適合度検定する場合の記述として、最も不適切なものを1つ選べ。
- 帰無仮説の下での各目の期待度数はすべて 10 である。
- この検定におけるカイ二乗統計量の計算式における自由度は 5 である。
- 観測されたデータから算出されるカイ二乗値 \chi^2 は 5.2 である。
- 自由度 5 のカイ二乗分布における上側 5 % 点が 11.07 であるとき、帰無仮説は棄却され「目の出方に偏りがある」と判断される。
解答・解説
正解: 4
【解説】
1:適切。総試行数 N = 60、カテゴリ数 k = 6 より、期待度数は E = 60 / 6 = 10 となる。
2:適切。一様頻度の適合度検定の自由度は df = k - 1 = 6 - 1 = 5 である。
3:適切。カイ二乗値を計算すると、
\chi^2 = \frac{(15-10)^2}{10} + \frac{(7-10)^2}{10} + \frac{(12-10)^2}{10} + \frac{(8-10)^2}{10} + \frac{(11-10)^2}{10} + \frac{(7-10)^2}{10}
\chi^2 = \frac{25 + 9 + 4 + 4 + 1 + 9}{10} = \frac{52}{10} = 5.2 となる。
4:不適切。算出されたカイ二乗値 \chi^2 = 5.2 は、限界値 11.07 よりも小さい(5.2 \lt 11.07)。したがって、帰無仮説は棄却されず、「サイコロの目の出方に偏りがあるとは言えない」と結論づける。



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