標準偏差(Standard Deviation)とは?
標準偏差(Standard Deviation)は、データの散らばり具合を表す最も代表的な指標です。分散の正の平方根(ルート)をとることで算出されます。
分散は計算の過程でデータを2乗するため、単位も「元の単位の2乗(例:\text{cm}^2 や \text{円}^2)」になってしまいます。標準偏差は平方根をとることで「元データと同じ単位」に戻し、平均値からの離れ具合を直感的に解釈できるようにした指標です。
標準偏差の定義と計算公式
1. 標本標準偏差(n で割る分散の平方根)
手元にあるデータ自身の散らばりを表す指標です。
2. 不偏標準偏差(n-1 で割る分散の平方根)
標本データから母集団の標準偏差(母標準偏差 \sigma)を推定・補正する際に用いる指標です。
一次変換(線形変換)における標準偏差の変化
データ x_i に対して y_i = a x_i + b という一次変換を行った場合、標準偏差 s_y は次のように変化します。
- 平行移動(+b): データ全体を一定値スライドさせても各値の「隔たり(散らばり)」は変わらないため、標準偏差に影響しません。
- 倍率(\times a): 散らばりも絶対値 |a| 倍になります。分散では a^2 でしたが、ルートをとるため |a|(絶対値)となります。マイナスを掛けても標準偏差が負になることはありません(常に s \ge 0)。
標準偏差の応用:標準化(z得点)と正規分布
1. データの標準化(z得点)
平均値 \bar{x}、標準偏差 s のデータ x_i に対して、以下の変換を行うことを標準化と呼びます。
標準化された変数 z は、「平均 0、標準偏差 1」に変換されます。異なる単位や尺度を持つデータ同士を比較する際に極めて重要な手法です。
2. 正規分布における「68-95-99.7の法則」
データが正規分布に従う場合、平均値 \mu と標準偏差 \sigma を用いてデータが含まれる割合を区間ごとに把握できます。
- \mu \pm 1\sigma の範囲:全体の実データのうち約 68.3% が含まれる
- \mu \pm 2\sigma の範囲:全体の実データのうち約 95.4% (精密には \pm 1.96\sigma で 95%)が含まれる
- \mu \pm 3\sigma の範囲:全体の実データのうち約 99.7% が含まれる
試験対策チェックポイント
- 分散と違って「元データと同じ単位を持つ」という標準偏差の最大のメリットを記述・選択問題で押さえる。
- 一次変換 y = ax + b では、s_y = |a| s_x となる(負の係数を掛けても標準偏差は必ず正の値)。
- 標準化 z = \frac{x - \bar{x}}{s} を行うと、どのようなデータセットでも**平均 0・標準偏差 1(分散 1)**になる性質を絶対に暗記する。
- 偏差値 T = 50 + 10 \times z は、標準化変数を「平均 50、標準偏差 10」に拡大スライドさせた一次変換であることを理解しておく。
確認問題(統計検定2級レベル)
問題
標準偏差およびデータの変換に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。
- 標準偏差は分散の正の平方根として定義され、元のデータと同じ測定単位で散らばり具合を表すことができる。
- 変量 x の標準偏差が 5 であるとき、y = -2x + 10 によって変換された変量 y の標準偏差は -10 である。
- 平均 60、標準偏差 10 のテストで 70 点をとった生徒の標準化変量(z得点)は 1.0 である。
- すべてのデータから平均値を引き、標準偏差で割る標準化を行うと、変換後のデータの分散は常に 1 になる。
解答・解説
正解: 2
【解説】
1:適切。分散は単位が2乗されるが、平方根をとる標準偏差は元データと同じ単位(例:cm, kg)を持ち、直接比較・解釈しやすい。
2:不適切。一次変換 y = ax + b における標準偏差の変化は s_y = |a| s_x である。a = -2 のため absolute(絶対値)をとり、s_y = |-2| \times 5 = 10 となる。標準偏差が負の値になることはない。
3:適切。z = \frac{x - \bar{x}}{s} = \frac{70 - 60}{10} = 1.0 と正しく算出される。
4:適切。標準化を行った後のデータは常に「平均 0、標準偏差 1」となり、標準偏差が 1 であるためその2乗である分散も常に 1 となる。



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